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吃音 どもり 吃音・どもり矯正治療専門 杉吃音治療院

「わたし」の「た」が言えて、「たなか」の「た」が言えないのはどうしてか?
日本語構造と吃音現象の中でも触れていますが、「た」の音を苦手とする吃音症状を持つ
人のほとんどが、言い始めの「た」や文節の中の一音目の「た」を苦手としますが、
単語の2音目以降の「た」は苦手ではなく普通に話せます。
これは発語リズムという観点から捉えれば、理解しやすいと思います。
「わたし」という単語は3音であり、3拍のリズムを持っています。「わ」の音に苦手意識
はないので抵抗なく「わ」の音が出ます。音は息の流れであり、息が流れている以上無駄な
力を入れなくてもすみます。むしろ、無駄に力を入れることの方が難しいと言ってもおかし
くありません。
   
一方、一音目の「た」は息の流れはありません。オーバーに言えば予期不安により体が硬直
してしまいます。
特に発音器官の音を作る部分の咽喉周辺に意識と無理な力が入ってしまいます。
この状態を脱却するためには、「吸う息」で息の流れを作ることです。
つまり、素早く軽く息を吸って、次にその反動を利用して吐く息に音を乗せていけばいい
のです。
あるいは、息を吸わなくても、腹圧をかけながら音を出せば、息が出るので、音も簡単に
出ます。
   
この二つの方法、ブレス法と腹圧法で最初の音を出していけば、言いにくい音も出せるのです。
そして、この二つの方法は普通に話せる人が無意識の内に、普通にやっている方法なのです。
 
吃音症状で困っているみなさん、言いにくさは体が作っているといっても過言ではありません。
言いにくさを治すには、体を使って息の流れを意識的に作っていくことです。
正しい発声フォームと正しい発語フォームを身につけることで、息の流れが作れるので
「言いにくさ」は解消するのです。
吃音を克服するために必要なことは発声・発語訓練をして、ブレス・声・リズム・テンポ・
タイミング等をコントロールする力を段階的に身につけていくことなのです。

「発語リズムの不正」という考え方
人間の行動の95%は潜在意識が行なっています。そして顕在意識が行なう行動は
僅か5%です。例えば歩行時に、どのくらいの歩幅でどのくらい膝を挙げて歩こうと考えたり
することはありません。

これは潜在意識の中に、歩行動作とそれに伴う歩行感覚が同時にインプットされているから
であり、足を動かすときにどれくらい動かしたかを、常に体の感覚で判断および確認しながら
歩いているのです。

したがって歩行動作と歩行感覚が正しければ、ただ方向だけを意識すれば、ほとんど意識する
ことなく歩くことが出来るのです。

つまり、体が歩行行為を覚えているのです。

言語行動も同じことです。頭の中で考えた言葉を、潜在意識の中にある発語行動と発語感覚を
使って、ほとんど無意識的に話しているのです。意識しているのは、何を話すかということ
だけです。

言葉は本来、肺から押し出される自然の空気の流れの中で、声帯に息を当てながら、
意識的に考えた言葉を、潜在意識にインプットされている無意識下での発語行動と発語感覚を
用いて、一音一音を繋げて単語を作り、さらに単語をまとめて、途切れの無い連続音として
言葉を出す作業をしているのです。
あくまでも、言葉は意識的に、発語行動は無意識的に行われているのです。

吃音症状において最も問題となる「言いにくさ」が、どうして生まれるのか考えたことは
ありますか。吃音症状のある人は、常に「言いにくさ」と戦っていると言っても過言では
ありません。「言いにくさ」と戦いながら、決して「言いにくさ」から脱却できないのです。
なぜなら「言いにくさ」のある音にこだわり、固執してしまったが故に、自分自身の発声法が
徐々に変容してしまっていることに気づいていないからです。
 
楽器で音を出すためにタイミングが必要です。ピアノは鍵盤を叩けば音が出ますが、
バイオリン、ギター、三味線などネックのある弦楽器は左手でネックを押さえているときに
右手で弦を弾かなければ正しい音は出ません。右手と左手が同時に動かないと音は出ないの
です。タイミングが合わないと音はでないのです。そして右手と左手のタイミングを合わせる
のは感覚です。 

また、フルート、サックス、尺八等の吹奏楽器の場合には、口で息を吹くタイミングと
右手・左手で穴を塞ぐタイミングが合わなければ音が出ません。右手・左手に無駄な力が
入っていれば、穴を塞ぐタイミングが遅れてしまいます。

吃音症状とは、まさにこういった状態になっているのです。
そして、これが「発語リズムの不正」という考え方であり、吃音改善のための「てがかり」になるのです。

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